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機動戦士ガンダム
THE ORIGIN Ⅲ
暁の蜂起 感想
シャアとガルマの出会い、ついに歴史の歯車が動き出す。
安彦良和先生原作の「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の映像化作品第3弾。
機動戦士ガンダムの主要なキャラクターであるシャア、ガルマの出会いと成長を描いた作品である。コミックスでは機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (10) (カドカワコミックスAエース)-シャア・セイラ編・後編-の最後の一話分と機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (11) (カドカワコミックスAエース)-開戦編・前編-の映像化。
ガンダム好きに加え安彦良和先生好きなブレイクが感想を書いていきます。
あらすじ
宇宙世紀0074年、エドワウ・マスはシャア・アズナブルと名前を変え、ジオン自治共和国国防軍士官学校に入学。同期でザビ家の御曹司であるガルマ・ザビと出会う。ガルマは当初シャアをライバル視していたものの、その後親交を深めていく。そして宇宙世紀0077年、学生たちは独立をつかみ取るべく地球連邦軍治安部隊に対して武力を駆使し戦うことを決意。ついにシャアの復讐(ふくしゅう)劇が幕を開ける。
感想
テキサスコロニーを発つ空港でシャア・アズナブルと入れ替わったエドワウ(キャスバル)は自身がシャアを名乗りついにサイド3の士官学校への入校を果たします。
ジオン自治共和国国防軍士官学校での話が中心ですが、なんでもできる優等生のシャアに対してイマイチなガルマのキャラクターも見逃せません。
また、後のドヅルの妻になるゼナも重要な役割を果たし。今回のアニメのオリジナルキャラのリノも脇役ながらシャアの誕生に一役買っています。
ガルマはシャアを勝手にライバル視して最初のうちは敵対的だった関係も重装行軍訓練でシャアに助けられたのを境に変化が現れ親交を深めるようになります。
後にガルマがリーダーシップを発揮できるようになったのはシャアに引っ張り上げられたからだと感じました。
シャアがガルマに焚きつけて行った地球連邦治安部隊への攻撃もシャアの意図としてはどうだったのでしょうか。
シャアの気持ちになって考えてみると、ザビ家打倒をもくろんで士官学校に入ったがそこにいたザビ家の末っ子ガルマはそんなに嫌な奴ではなかった。
特に成績も優秀で皆に一目置かれるシャアにとっては、積極的に自分の懐に飛び込んできたガルマはむしろいい奴に映っていたのではとさえ思う。
本編のガンダムではガルマの最後はホワイトベースに特攻をかけて死んでしまったが、シャアが直接手を下した訳ではなく、「生まれの不幸を呪うがいい」と言って見殺しにしただけ。
そう考えるとシャアはガルマを本当は認めていたし、いい親友になれたかもと今となってはガルマを見殺しにしたことを後悔していたのではないでしょうか。
ニノは今回のオリジナルのキャラクターのためニノを絡めたストーリーが原作とは異なっているのも見どころに一つです。
ニノの設定はシャアと同じルウム出身でエドワウと入れ替わる前の本当のシャアを知っていいる設定。
最後はシャアの正体がエドワウ(キャスバル)とバレてしまいシャアに問いただしますがその後の展開は・・・続きは自分で確認してください。
モビルスーツの開発状況やセイラのその後、アムロも最後に出てきて今後のストーリーにかかわる内容もあるので次回が楽しみな内容になっています。
心に残った名シーン
重装行軍訓練のシーン・・・シャアを出し抜こうと雨の中岩山を登るガルマ、足を滑らせ崖から落ちて動けなくなったガルマを助けに来たシャアに「僕に触れるな」と敵対心をむき出しにするシーン。
ガルマのザビ家としてのプライドの高さとシャアに勝ちたいという思い、無様な姿をシャアに見られたくないと思う複雑な感情が詰まっている名シーンだと思う。
連邦治安部隊への攻撃前のシーン・・・準備中にガルマが戦闘服に着替えるが、緊張してボタンが掛けられないシーン。
不安と自信のなさから手が震えている様子が何とも言えず緊張が伝わる。
シャアに手伝ってもらい、やっと着替えられたがガルマの性格が一番よく出ていて好きなシーンです。
ニノの最後のシーン・・・シャアの指示で連邦軍の戦車を奪ったニノ。
そこに待ち受けていたのはニノもびっくりの驚愕のラストでした。
シャア恐ろしやです。
引っかかった疑問点
シャアとエドワウの入れ替わり・・・空港でシャアを陥れ入れ替わったエドワウ(キャスバル)だが、ザビ家の監視の目を盗みトイレで服を交換しただけであっさり入れ替わりが成功してしまったこと。
手荷物検査員のみならず監視は何人もいたはずなのに誰一人気が付かないのはミラクルです。
連邦軍戦艦がコロニーに衝突・・・原作では小隕石がコロニーの農業ブロックに衝突していたが、アニメでは連邦軍の戦艦が衝突していること。
ストーリー的にはそれほど影響がないように思えます。
遊び心のシーン
ガルマの取巻きが吹っ飛んだシーン・・・授業中ガルマの計算の邪魔をしたシャア、授業終了後ガルマと取巻き達に絡まれてその一人に肩をつかまれた時、つかんだ相手を睨むと相当な距離吹っ飛んでしまった。
シャアは覇王色を持っているかの如く凄かった。
番外編・・・コミックス(10)でのシーンですが、入校式で名前を呼ばれて起立するシーンがあったがその中にタロー・ヤマダという人がいた。
なんか笑えた。安彦先生の遊び心を感じました。
まとめ
安彦先生のコミックスを読んだことがなくいきなりアニメから入った人には結構衝撃というか面を食らったシーンが多い作品ではないでしょうか。
私も初めてコミックスを読んだときはシャアのサングラス姿やバスケットボールをやるシーンとか、行軍でのシャアの戦闘服姿はすごく新鮮に映ったのを覚えています。
本当にこの作品はよくできていると感心します。
キャラクターのすべての行動やせりふが伏線になっていて一年戦争につながっていると感じます。
たとえば少し情けないくらいのガルマの性格は、ファーストガンダムでシャアに笑われた時「笑うなよ兵が見ている」と言ったのを思い出して昔から変わってないなと思ったり。
そんなシーンを発見するのも楽しみの一つではないでしょうか。
安彦先生のコミックスを読んでいないあなたは一度は読んでおくことをお勧めします。
面白さは2倍いや3倍になるはずです。
今後も続いていくこの作品、どういう展開を経て宇宙世紀0079を迎えるのか楽しみにしながら見守っていきたい。
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