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コミック 機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス 感想
機動戦士クロースボーン・ガンダムで人気の漫画家、長谷川裕一氏の読切を収めた作品。
「機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス」と「機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンテス」の2作品を収めたコミックスです。
ガンダムの漫画は数多くありますが、その中でも異彩を放つ長谷川裕一氏の漫画はひと際引き付けられます。
それは単にロボット物の漫画ではなく、ストーリーの中に深いメッセージが込められていたり、アイデアの切り口が思いもつかない物だったり、とても読み応えのある作品が多くあります。
長谷川裕一氏の漫画をまだ読んだことがない方は一度読んでみることをお勧めします。
ファーストガンダム世代の40代の方にはドストライクの内容もあるので、きっと共感のできることでしょう。
特に「機動戦士VS伝説巨神は」単純にマンガでしか描けない内容なので必見です。
目次
機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス
感想
1作品目は機動戦士Vガンダムのストーリーとクロスする話しです。
宇宙世紀0153年、宇宙世紀年表で言うと「機動戦士ガンダムF91」の後の時代ですね。
サンスカール帝国とリガ・ミリティアの戦いが激化するなか、Vガンダムの主人公ウッソ・エヴィンを中心に物語は進みます。
スペースコロニーサイド6の外れにコロニーを2つ繋げた巨大なコロニーが確認される。
ザンスカール軍部は巨大なコロニーレーザーの可能性があるとにらみ、巨大コロニーに軍隊を送り込む。
そのさなか、木星からの定期船は付近を漂流していた2機のモビルスーツを回収していた。
木星からの定期船には木星じいさんと呼ばれる年老いた男が乗っていて、漂流していた機体にはウッソとザンスカール軍のカムイという少女が乗っていた。
木星の定期船に助けられ、向かった先は巨大コロニー「ダンディ・ライオン」だったのですが、その内部でコロニーの目的を聞かされ、混乱するウッソにザンスカールの軍隊も進入してきて、物語は混乱を極めます。
話しの内容はとても興味深く、もはやガンダムというきっかけはあるが話の内容は飛びすぎていて、いい意味で虚しい感じが残る内容になっている。
ニュータイプもさらなる進化を遂げている人間が生まれていて、心で嘘をつくことができる能力というのも出てきた。
人間も言葉を話すようになり、やがて言葉が発展し、嘘を話す者が出てきたのと同じように、嘘をつくニュータイプのアイデアは深いですね。
そんなガンダムの漫画とは一線を画す長谷川氏のアイデアは面白く引き込まれてしまう。
最後には地球を離れとんでもない所まで行こうとしている、木星じいさんの考えに深く感銘を受けた。
争いの絶えない人間の醜さを考えさせられ、平和とはとても貴重なもので、守っていかなければならない大切な宝だと改めて思う作品です。
注目ポイント
巨大コロニーは宇宙船だった
木星じいさんの巨大コロニーは争いを避けるため、はるか遠くの星を目指す宇宙船として改良されたものだった。
乗組員のほとんどはニュータイプの能力を持つ者達で、地球での長年に渡る争いに利用され、嫌気の指した人たちが集まり、コールドスリープで保存されている人を乗せ、発信する準備をしていた。
争いの絶えない地球圏から逃げ出すという、何とも理由が悲しすぎる計画に虚しさを感じます。
ガンダムという戦争マンガの裏側を見事にとらえたテーマに感心しました。
モビルスーツのカッコいい戦闘だけではなく、その裏には戦争の醜さ、人の醜さも潜んでいるということですね。
やはりストーリーに引き付けられるのが、魅力です。
目的地はプロキシマ・ケンタウリ
目的地は地球からおよそ40兆㎞彼方のプロキシマ・ケンタウリ。
あまりにも話が飛びすぎて想像つきません。
これは本当にガンダムなのかと思うほどの話しで、最後には宇宙世紀653年、プロキシマ・ケンタウリへの植民が達成されことが記され終わっている。
何とも壮大な話で終わっているため、自分のちっぽけな悩みが恥ずかしくなるようです。
でも無事についてよかった。遠すぎる未来へ思いを馳せた瞬間でした。
まとめ
この話は漂流したウッソが体験した物語になっているが、この話の中でザンスカール軍とのモビルスーツの戦闘もあり、噓をつくニュータイプの話もあるが、そんな事はもうどうでいい話になってくる。
巨大コロニーの行先と、戦争を繰り返す人間の過ちから逃げる、ということに焦点が行っていしまい、とても深く考えさせられる内容です。
長谷川氏のアイデアの深さに感動する作品なので一度は見てみる価値のある漫画だと思います。
機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス
感想
この作品はあまり真剣に考えないで読んだほうがいい作品です。
ガンダムの世界観だけ借りた、オリジナルのストーリーなので面白ければいいかな、という感じで読んでみてください。
物語は宇宙世紀0091年。
木星に渡航経験のあるニュータイプ、シャリア・ブルとパプテマス・シロッコの航海記に木星圏で「巨神」に出会ってからニュータイプ能力が覚醒した、との記述文書が見つかった。
事の真偽を確かめるべく、連邦首脳部は木星への調査をアムロ・レイに行かせることにした。
そして、木星で待っていたのはニュータイプ、ジュドー・アーシタであった。
アムロとジュドー、2人のニュータイプが出会った正史はないが、2人の前に現れる巨神とはいったい何なのか。
ネオジオンに利用されるミネバ、巨神を追って来たシャアも加わり、事態は最悪の方向に。
蘇った伝説の巨神を止めることができるのか、そして、巨神の中に捕らえられたミネバをジュドーは救い出せるのか。
巨大な伝説巨神はサンライズの懐かしのあの巨大ロボですね。
長谷川氏の発想に感心するとともに、よくマンガにしたなと驚きました。
インパクトが凄いので、正直内容は入ってこないですね。
伝説巨神を止めるために、アムロ、シャア、ジュドーの3人が力を合わせ巨神に立ち向かうという流れは王道のストーリーです。
シャアがロン毛にサングラス姿なので、その辺の設定は納得がいかず。
出てくるモビルスーツもダサいもので、とても見れないデザインですが、ストーリーの面白さで何とか読み切れる感じです。
ガンダムを語るうえで、こんな面白いエピソードの漫画もあることを、覚えておくだけでも楽しいのではないかと思います。
注目ポイント
伝説巨神とは
富野喜幸氏がガンダムの後に手掛けた作品、伝説巨神イデオンです。
ガンダムVSイデオンという、禁じ手を書いてしまった長谷川氏はやりますね。
たぶん、自身の思い出深い作品のキャラ同士を対決させる、という子供の頃に思い描いていた夢の企画を自分でやってしまったんですね。
感情を増幅させることでエネルギーを得ているイデオンにモビルスーツがどう戦いを挑むのか興味深いですが。
イデオンの圧倒的な戦力の前で、手も足も出ないモビルスーツ。
ジュドー達はどうやって巨神を倒すのか、続きはご自身で確かめて下さい。
シャアの登場
この話にはシャアも登場するのですが、イマイチさえない感じのシャアですね。
存在感が薄く、外見も変化を付けすぎて失敗した印象です。
部下の暴走により、今回の事態を招いてしまったのは、ネオ・ジオン総帥であるシャア自身のせい。
部下の管理をしっかりやりなさいと、言ってあげたいですね。
アムロと協力して伝説巨神に挑むわけですが、このシャアだけはどうも好きになれない。
まとめ
機動戦士ガンダムVS伝説巨神イデオンはアイデアだけで十分楽しめる内容でした。
ガンダムの正史には入らないオリジナルのストーリーならではのなんでもあり感が、うまくイデオンとマッチしていい意味で化学反応を起こした作品です。
初めて見る方でも楽しんで読める作品になっていると思うので、一度読んでみてはいかがでしょうか。
おまけ
1作目登場した木星じいさんは実はジュドーだという説もあります。
あくまで非公式ですが、木星に関りのある人物、MSガンプの頭部はZZなどジュドーを彷彿とさせる場面が至る所にある。
ガンダムZZ以降はほとんど語られていないキャラだけに、じつに興味深いですね。
そんなことを思いながら読むのも楽しさが増します。
機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス (カドカワコミックス・エース)